雄大な自然環境を有する小笠原諸島は生物多様性における高い価値から、2011年世界自然遺産に登録されました。
そんな小笠原諸島、実はヒトの入植以降、明治期の大開拓時代から始まる約150年間の経済活動によって貴重な生態系が攪乱され続けてきました。人の生活や経済活動を起因とする森林破壊や外来種の混入は、元々脆弱であった島固有の動植物の絶滅が危惧される状況が年々増加の一途をたどっています。特に放牧放棄されて野生化したノヤギや人類と共に入り込んだネズミ等の哺乳類は、島の森林生態系に大きな影響を及ぼしており、近年、森林荒廃が進んだ地域や離島では土壌侵食や地形の変貌が発生するほど深刻な事態が発生しています。もともと脆弱であった孤立した海洋島の生態系は、このような変化の中で更に脆弱化し、現状のままでは更に衰退の一途を辿ることになります。
加えて産業革命以降、私たち「人類の営み」は地球規模の環境変化を招いており、地球温暖化は小笠原の生態系にも少なからぬ影響を与えてきました。カーボンニュートラルに向けた大変革期である現在、炭素を吸収または固定してゆくことは、海洋に囲まれた日本のアドバンテージとなり得、太平洋のど真ん中「小笠原諸島」からその可能性を示していくことができれば、大きなビジネスチャンスにも繋がっていくと私たちは考えています。同時に経済活動と環境保全を両立させる『道しるべ』を世界に示していくことは私たち世界自然遺産に住まう企業の責務であるとも考えています。
弊社は小笠原返還後の再開発期から現在に至るまでの約50年間に渡り、島の課題に寄り添い、その解決策を企業戦略に置き換えた事業活動を行ってきました。
環境保全事業も主軸を為す事業戦略の一つで「小笠原独自の植生」やそれを支える「土壌基盤」を中心に知見と技術力を高めてきました。中でも小笠原諸島の有人無人島の植生回復事業には四半世紀に渡って関わらせていただいており、それら経験値を基に「調査設計」から「施工」、「モニタリング等、維持管理」までワンストップで生態系保全を担える組織体制を構築しています。
◆この事業を受け持つ主な資格者
樹木医、1級造園施工管理技士、自然再生士、自然再生士補、2級土木施工管理技士、2級造園施工管理技士、1級小型船舶操縦者、上級救命講習修了者、気象予報士