<活動内容>

≪2017年05月~ グリーンアノール駆除と環境教育ボランティア≫
コロナ禍により中止

・活動コンセプト

小笠原諸島では、特定外来生物として猛威を振るうグリーンアノールが、小笠原の生態系にとって深刻な脅威となっています。そのため、現在、環境省と東京都による公共事業がグリーンアノールの駆除と拡散防止・抑制に向けて展開されています。

この状況の中、2017年5月からは経済団体連合会(経団連)の助成金を受けたNPO法人小笠原野生生物研究会による「駆除を目的とした市民活動」が開始されました。当初、私たちはこの活動に協賛する予定でしたが、当社では「島の未来を担う子供たちと一緒に取り組みたい」との考えから、参加者の年齢など経団連の助成条件に合致しないことや、一部の教育関係者や保護者から子供たちに「駆除=殺処分」という行為を行わせることに対する拒否感が示されたため、協賛を断念しました。

しかし、「駆除=殺処分」は事実であるとしても、環境教育は単に耳で聞くだけではなく、実際のフィールドで自ら手を動かし環境保全に貢献することによって、子供たちに将来の小笠原の生態系保全への意識を醸成することができるのではないかと考えました。そのため、私たちは環境省に相談し、「なぜアノールを駆除しなければならないのか?」、「生物多様性の保全が未来にどのように繋がるのか?」といったテーマの環境教育を同時に実施することを条件に、環境省小笠原自然保護官事務所のバックアップを得ることができました。これにより、私たちの現在の活動が展開されています。

現在、活動に参加しているのは小笠原に住む小学生とその保護者、さらには村役場関係者などの行政関係者のご家族です。彼らのご賛同に感謝しています。先述のように、私たちの活動は捕獲活動だけでなく、参加する子供たちには全11回の環境学習も提供しています。最初の5回では、「なぜグリーンアノールを駆除する必要があるのか? グリーンアノールは悪者なのか?」というテーマを取り上げ、後半の6回では小笠原で行われている他の外来種駆除事業について学びます。また、各事業が「将来の島の生活にどのような影響を与えるのか?」、「環境保全各事業が必要とする循環型社会への発展」というテーマで学習を行います。

私たちはわざとグリーンアノール駆除とは異なるテーマに挑戦しています。それは、将来的に起こり得る巨大地震や大津波、地球温暖化などの大規模災害が増加している中で、島の生活維持における物資供給の滞りなどへの影響を軽減するためです。私たちは東京から約1000km離れた閉鎖的な環境で、可能な限りのエネルギー循環を実現する方法を考えていきたいと思っています。これは将来最も被害を受けると予想される子供たちが主体となって行う活動です。

以上が、現在私たちの活動の概要です。私たちは小笠原の生態系保全に取り組みながら、子供たちに環境保全への意識を育む機会を提供することに情熱を注いでいます。将来的には、この活動が小笠原の子供たちが地域の持続可能な発展に貢献する一翼を担うことにつながることを願っています。

三日月山での捕獲活動①
三日月山での捕獲活動②
世界遺産センターでの環境教育
世界遺産センターでの環境教育